aboutsummaryrefslogtreecommitdiffstats
path: root/Documentation
diff options
context:
space:
mode:
authorKeiichi Kii <k-keiichi@bx.jp.nec.com>2011-06-17 20:45:01 -0400
committerGreg Kroah-Hartman <gregkh@suse.de>2011-07-18 16:37:12 -0400
commit21d541aa19e90752232bf6c43002f019f204f988 (patch)
tree3c9cfc3f0b35b3bcf594fb34ef8422454586446d /Documentation
parentd0a542637f6879a493aa713b9f81c4fcd98f4f7a (diff)
updated Documentation/ja_JP/SubmittingPatches
Updated Documentaion/ja_JP/SubmittingPatches due to changes from upstream version(2.6.39) of the file. And also, this translated SubmittingPatches is already reviewed by JF project. The JF project is the Japanese equivalent of LDP. Signed-off-by: Keiichi Kii <k-keiichi@bx.jp.nec.com> Signed-off-by: Greg Kroah-Hartman <gregkh@suse.de>
Diffstat (limited to 'Documentation')
-rw-r--r--Documentation/ja_JP/SubmittingPatches258
1 files changed, 213 insertions, 45 deletions
diff --git a/Documentation/ja_JP/SubmittingPatches b/Documentation/ja_JP/SubmittingPatches
index f107c834d242..97f78dd0c085 100644
--- a/Documentation/ja_JP/SubmittingPatches
+++ b/Documentation/ja_JP/SubmittingPatches
@@ -11,16 +11,18 @@ for non English (read: Japanese) speakers and is not intended as a
11fork. So if you have any comments or updates of this file, please try 11fork. So if you have any comments or updates of this file, please try
12to update the original English file first. 12to update the original English file first.
13 13
14Last Updated: 2007/10/24 14Last Updated: 2011/06/09
15
15================================== 16==================================
16これは、 17これは、
17linux-2.6.23/Documentation/SubmittingPatches の和訳 18linux-2.6.39/Documentation/SubmittingPatches の和訳
18です。 19です。
19翻訳団体: JF プロジェクト < http://www.linux.or.jp/JF/ > 20翻訳団体: JF プロジェクト < http://www.linux.or.jp/JF/ >
20翻訳日: 2007/10/17 21翻訳日: 2011/06/09
21翻訳者: Keiichi Kii <k-keiichi at bx dot jp dot nec dot com> 22翻訳者: Keiichi Kii <k-keiichi at bx dot jp dot nec dot com>
22校正者: Masanari Kobayashi さん <zap03216 at nifty dot ne dot jp> 23校正者: Masanari Kobayashi さん <zap03216 at nifty dot ne dot jp>
23 Matsukura さん <nbh--mats at nifty dot com> 24 Matsukura さん <nbh--mats at nifty dot com>
25 Takeshi Hamasaki さん <hmatrjp at users dot sourceforge dot jp>
24================================== 26==================================
25 27
26 Linux カーネルに変更を加えるための Howto 28 Linux カーネルに変更を加えるための Howto
@@ -97,7 +99,7 @@ Quilt:
97http://savannah.nongnu.org/projects/quilt 99http://savannah.nongnu.org/projects/quilt
98 100
99Andrew Morton's patch scripts: 101Andrew Morton's patch scripts:
100http://userweb.kernel.org/~akpm/stuff/tpp.txt 102http://userweb.kernel.org/~akpm/stuff/patch-scripts.tar.gz
101このリンクの先のスクリプトの代わりとして、quilt がパッチマネジメント 103このリンクの先のスクリプトの代わりとして、quilt がパッチマネジメント
102ツールとして推奨されています(上のリンクを見てください)。 104ツールとして推奨されています(上のリンクを見てください)。
103 105
@@ -109,9 +111,25 @@ http://userweb.kernel.org/~akpm/stuff/tpp.txt
109「ドライバー X に対するバグフィックス」あるいは「このパッチはサブシス 111「ドライバー X に対するバグフィックス」あるいは「このパッチはサブシス
110テム X に対する更新を含んでいます。どうか取り入れてください。」などです。 112テム X に対する更新を含んでいます。どうか取り入れてください。」などです。
111 113
114パッチの説明を Linux カーネルのソースコードマネジメントシステム「 git 」の
115コミットログとして簡単に引用できる形で書けば、メンテナから感謝されるでしょう。
116以下の #15 を見てください。
117
112説明が長くなりだしたのであれば、おそらくそれはパッチを分ける必要がある 118説明が長くなりだしたのであれば、おそらくそれはパッチを分ける必要がある
113という兆候です。次の #3 を見てください。 119という兆候です。次の #3 を見てください。
114 120
121パッチ(シリーズ)を(再)投稿する時、十分なパッチの説明とそのパッチが必要な理由を
122パッチに含めてください。ただ「これはパッチ(シリーズ)のバージョン N」とだけ
123書かないでください。そして、パッチをマージする人にパッチの説明を探させそれを
124パッチに追記させるため、過去のバージョンのパッチやそのパッチの URL を参照する
125手間をかけさせないでください。
126つまり、パッチシリーズとその説明は一緒にあるべきです。これはパッチをマージする
127人、レビューする人、どちらのためにもなります。レビューする人の中には、おそらく
128過去のバージョンのパッチを受け取ってもいない人がいます。
129
130登録済みのバグエントリを修正するパッチであれば、そのバグエントリを示すバグ ID
131や URL を明記してください。
132
1153) パッチの分割 1333) パッチの分割
116 134
117意味のあるひとまとまりごとに変更を個々のパッチファイルに分けてください。 135意味のあるひとまとまりごとに変更を個々のパッチファイルに分けてください。
@@ -141,7 +159,7 @@ http://userweb.kernel.org/~akpm/stuff/tpp.txt
141拒否されるでしょう。 159拒否されるでしょう。
142 160
143あなたはパッチを投稿する前に最低限パッチスタイルチェッカー 161あなたはパッチを投稿する前に最低限パッチスタイルチェッカー
144( scripts/patchcheck.pl )を利用してパッチをチェックすべきです。 162( scripts/checkpatch.pl )を利用してパッチをチェックすべきです。
145もしパッチに違反がのこっているならば、それらの全てについてあなたは正当な 163もしパッチに違反がのこっているならば、それらの全てについてあなたは正当な
146理由を示せるようにしておく必要があります。 164理由を示せるようにしておく必要があります。
147 165
@@ -192,13 +210,13 @@ VGER.KERNEL.ORG でホスティングされているメーリングリストの
192情報がマニュアルページの中に入ってくるように、変更が起きたという 210情報がマニュアルページの中に入ってくるように、変更が起きたという
193通知を送ってください。 211通知を送ってください。
194 212
195たとえ、メンテナが #4 で反応がなかったとしても、メンテナのコードに変更を 213たとえ、メンテナが #5 で反応がなかったとしても、メンテナのコードに変更を
196加えたときには、いつもメンテナに CC するのを忘れないようにしてください。 214加えたときには、いつもメンテナに CC するのを忘れないようにしてください。
197 215
198小さなパッチであれば、Adrian Bunk している Trivial Patch Monkey 216小さなパッチであれば、Trivial Patch Monkey(パッチを集めいる)
199(ちょっとしたパッチを集めている)<trivial@kernel.org>に CC してもいい 217<trivial@kernel.org>に CC してもいいです。その現管理者については MAINTAINERS
200。ちょっとしたパッチとは以下のルールのどれか1つを満たしていなけ 218ァイルを見さいちょっとしたパッチとは以下のルールのどれか1つを満たして
201ればなりません。 219なけばなりません。
202 ・ドキュメントのスペルミスの修正 220 ・ドキュメントのスペルミスの修正
203 ・grep(1) コマンドによる検索を困難にしているスペルの修正 221 ・grep(1) コマンドによる検索を困難にしているスペルの修正
204 ・コンパイル時の警告の修正(無駄な警告が散乱することは好ましくないた 222 ・コンパイル時の警告の修正(無駄な警告が散乱することは好ましくないた
@@ -210,7 +228,6 @@ VGER.KERNEL.ORG でホスティングされているメーリングリストの
210 ・移植性のないコードから移植性のあるコードへの置き換え(小さい範囲で 228 ・移植性のないコードから移植性のあるコードへの置き換え(小さい範囲で
211 あればアーキテクチャ特有のことでも他の人がコピーできます) 229 あればアーキテクチャ特有のことでも他の人がコピーできます)
212 ・作者やメンテナによる修正(すなわち patch monkey の再転送モード) 230 ・作者やメンテナによる修正(すなわち patch monkey の再転送モード)
213EMAIL: <trivial@kernel.org>
214 231
2157) MIME やリンクや圧縮ファイルや添付ファイルではなくプレインテキストのみ 2327) MIME やリンクや圧縮ファイルや添付ファイルではなくプレインテキストのみ
216 233
@@ -233,26 +250,15 @@ MIME 形式の添付ファイルは Linus に手間を取らせることにな
233例外:お使いの電子メールクライアントがパッチをめちゃくちゃにするので 250例外:お使いの電子メールクライアントがパッチをめちゃくちゃにするので
234あれば、誰かが MIME 形式のパッチを再送するよう求めるかもしれません。 251あれば、誰かが MIME 形式のパッチを再送するよう求めるかもしれません。
235 252
236警告: Mozilla のような特定の電子メールクライアントは電子メールの 253余計な変更を加えずにあなたのパッチを送信するための電子メールクライアントの設定
237ヘッダに以下のものを付加して送ります。 254のヒントについては Documentation/email-clients.txt を参照してください。
238---- message header ----
239Content-Type: text/plain; charset=us-ascii; format=flowed
240---- message header ----
241問題は、「 format=flowed 」が付いた電子メールを特定の受信側の電子メール
242クライアントがタブをスペースに置き換えるというような変更をすることです。
243したがって送られてきたパッチは壊れているように見えるでしょう。
244
245これを修正するには、mozilla の defaults/pref/mailnews.js ファイルを
246以下のように修正します。
247pref("mailnews.send_plaintext_flowed", false); // RFC 2646=======
248pref("mailnews.display.disable_format_flowed_support", true);
249 255
2508) 電子メールのサイズ 2568) 電子メールのサイズ
251 257
252パッチを Linus へ送るときは常に #7 の手順に従ってください。 258パッチを Linus へ送るときは常に #7 の手順に従ってください。
253 259
254大きなパッチはメーリングリストやメンテナにとって不親切です。パッチが 260大きなパッチはメーリングリストやメンテナにとって不親切です。パッチが
255未圧縮で 40KB を超えるようであるなら、インターネット上のアクセス可能な 261未圧縮で 300KB を超えるようであるなら、インターネット上のアクセス可能な
256サーバに保存し、保存場所を示す URL を伝えるほうが適切です。 262サーバに保存し、保存場所を示す URL を伝えるほうが適切です。
257 263
2589) カーネルバージョンの明記 2649) カーネルバージョンの明記
@@ -324,7 +330,7 @@ Linus や LKML への大量の電子メールのために、サブジェクト
324 (c) 本寄与は(a)、(b)、(c)を証明する第3者から私へ直接提供された 330 (c) 本寄与は(a)、(b)、(c)を証明する第3者から私へ直接提供された
325 ものであり、私はそれに変更を加えていない。 331 ものであり、私はそれに変更を加えていない。
326 332
327 (d) 私はこのプロジェクトと本寄与が公のものであることに理解及び同意す 333 (d) 私はこのプロジェクトと本寄与が公のものであることに理解及び同意す
328 る。同時に、関与した記録(投稿の際の全ての個人情報と sign-off を 334 る。同時に、関与した記録(投稿の際の全ての個人情報と sign-off を
329 含む)が無期限に保全されることと、当該プロジェクト又は関連する 335 含む)が無期限に保全されることと、当該プロジェクト又は関連する
330 オープンソースライセンスに沿った形で再配布されることに理解及び 336 オープンソースライセンスに沿った形で再配布されることに理解及び
@@ -340,7 +346,51 @@ Linus や LKML への大量の電子メールのために、サブジェクト
340無視されますが、あなたはそのタグを社内の手続きに利用したり、sign-off に特別 346無視されますが、あなたはそのタグを社内の手続きに利用したり、sign-off に特別
341な情報を示したりすることができます。 347な情報を示したりすることができます。
342 348
34313) いつ Acked-by: を使うのか 349あなたがサブシステムまたはブランチのメンテナであれば、受け取ったパッチを自身の
350ツリーにマージするために、わずかに変更が必要となる場合があります。なぜなら
351あなたのツリーの中のコードと投稿者のツリーの中のコードは同一ではないためです。
352もし、あなたが厳密に上記ルール(c)にこだわるのであれば、投稿者に再度差分を
353とるよう依頼すべきです。しかし、これは時間とエネルギーを非生産的に浪費する
354ことになります。ルール(b)はあなたにコードを修正する権利を与えてくれます。
355しかし、投稿者のコードを修正し、その修正によるバグを投稿者に押し付けてしまう
356ことはとても失礼なことです。この問題を解決するために、末尾の投稿者の
357Signed-off-by とあなたがその末尾に追加する Signed-off-by の間に、修正を
358加えたことを示す1行を追加することが推奨されています。
359(その1行の書き方に)決まりはありませんが、大括弧の中に電子メールアドレスや氏名
360と修正内容を記載するやり方は目につきやすく、最終段階での変更の責任があなたに
361あることを明確にするのに十分な方法のようです。例えば、
362
363 Signed-off-by: Random J Developer <random@developer.example.org>
364 [lucky@maintainer.example.org: struct foo moved from foo.c to foo.h]
365 Signed-off-by: Lucky K Maintainer <lucky@maintainer.example.org>
366
367あなたが安定版のブランチを管理しており、作成者のクレジット、変更の追跡、
368修正のマージ、と同時に苦情からの投稿者の保護を行いたい場合、この慣習は特に
369有用となります。いかなる事情があってもチェンジログに出てくる作成者の
370アイデンティティ情報(From ヘッダ)は変更できないことに注意してください。
371
372バックポートする人のための特別な注意事項。追跡を容易に行うために、コミット
373メッセージのトップ(サブジェクト行のすぐ後)にパッチの起源を示す情報を記述する
374ことは一般的で有用な慣習です。例えば、これは 2.6-stable ツリーでの一例です。
375
376 Date: Tue May 13 19:10:30 2008 +0000
377
378 SCSI: libiscsi regression in 2.6.25: fix nop timer handling
379
380 commit 4cf1043593db6a337f10e006c23c69e5fc93e722 upstream
381
382そして、これは 2.4 ツリーでの一例です。
383
384 Date: Tue May 13 22:12:27 2008 +0200
385
386 wireless, airo: waitbusy() won't delay
387
388 [backport of 2.6 commit b7acbdfbd1f277c1eb23f344f899cfa4cd0bf36a]
389
390どんな形式であれ、この情報はあなたのツリーを追跡する人やあなたのツリーのバグを
391解決しようとしている人にとって価値のある支援となります。
392
39313) いつ Acked-by: と Cc: を使うのか
344 394
345「 Signed-off-by: 」タグはその署名者がパッチの開発に関わっていたことやパッチ 395「 Signed-off-by: 」タグはその署名者がパッチの開発に関わっていたことやパッチ
346の伝播パスにいたことを示しています。 396の伝播パスにいたことを示しています。
@@ -354,7 +404,7 @@ Linus や LKML への大量の電子メールのために、サブジェクト
354 404
355Acked-by: は Signed-off-by: のように公式なタグではありません。それはメンテナが 405Acked-by: は Signed-off-by: のように公式なタグではありません。それはメンテナが
356少なくともパッチをレビューし、同意を示しているという記録です。そのような 406少なくともパッチをレビューし、同意を示しているという記録です。そのような
357ことからパッチ統合者がメンテナの「うん、良いと思うよ」という発言を 407ことからパッチマージメンテナの「うん、良いと思うよ」という発言を
358Acked-by: へ置き換えることがあります。 408Acked-by: へ置き換えることがあります。
359 409
360Acked-by: が必ずしもパッチ全体の承認を示しているわけではありません。例えば、 410Acked-by: が必ずしもパッチ全体の承認を示しているわけではありません。例えば、
@@ -364,7 +414,62 @@ Acked-by: が必ずしもパッチ全体の承認を示しているわけでは
364この点は、ご自分で判断してください。(その Acked-by: が)疑わしい場合は、 414この点は、ご自分で判断してください。(その Acked-by: が)疑わしい場合は、
365メーリングリストアーカイブの中の大元の議論を参照すべきです。 415メーリングリストアーカイブの中の大元の議論を参照すべきです。
366 416
36714) 標準的なパッチのフォーマット 417パッチにコメントする機会を持っていたが、その時にコメントしなかった人がいれば、
418その人を指す「Cc:」タグを任意で追加してもかまいません。これは指定された人からの
419明確なアクションなしに付与できる唯一のタグです。
420このタグはパッチに関心があると思われる人達がそのパッチの議論に含まれていたこと
421を明文化します。
422
42314) Reported-by と Tested-by: と Reviewed-by: の利用
424
425他の誰かによって報告された問題を修正するパッチであれば、問題報告者という寄与を
426クレジットするために、Reported-by: タグを追加することを検討してください。
427こまめにバグ報告者をクレジットしていくことで、うまくいけばその人たちが将来再び
428コミュニティの力となってくれるでしょう。
429ただし、報告者の許可無くこのタグを追加しないように注意してください。特に、
430問題が公の場で報告されていなかったのであれば。
431
432Tested-by: タグはタグで指定された人によって(ある環境下で)パッチのテストに成功
433していることを示します。このタグはメンテナにテストが実施済みであることを
434知らせ、将来の関連パッチのテスト協力者を見つける方法を提供し、テスト実施者に
435対するクレジットを保証します。
436
437Reviewed-by: タグは、それとは異なり、下記のレビューア宣言の下にレビューされ、
438受け入れ可能とみなされたパッチであることを示します。
439
440 レビューアによる監督宣言
441
442 私は Reviewed-by: タグを提示することによって、以下のことを明言する。
443
444 (a) 私はメインラインカーネルへの統合に向け、その妥当性及び「即応性
445 (訳注)」を検証し、技術的側面からパッチをレビュー済みである。
446
447 訳注:
448 「即応性」の原文は "readiness"。
449 パッチが十分な品質を持っており、メインラインカーネルへの統合を即座に
450 行うことができる状態であるかどうかを "readiness" という単語で表現
451 している。
452
453 (b) パッチに関するあらゆる問題、懸念、あるいは、疑問は投稿者へ伝達済み
454 である。私はそれらのコメントに対する投稿者の返答に満足している。
455
456 (c) 投稿に伴い改良されるコードがある一方で、現時点で、私は(1)それが
457 カーネルにとって価値のある変更であること、そして、(2)統合に際して
458 議論になり得るような問題はないものと確信している。
459
460 (d) 私はパッチをレビューし適切であると確信している一方で、あらゆる
461 状況においてその宣言した目的や機能が正しく実現することに関して、
462 いかなる保証もしない(特にどこかで明示しない限り)。
463
464Reviewd-by タグはそのパッチがカーネルに対して適切な修正であって、深刻な技術的
465問題を残していないという意見の宣言です。興味のあるレビューアは誰でも(レビュー
466作業を終えたら)パッチに対して Reviewed-by タグを提示できます。このタグは
467レビューアの寄与をクレジットする働き、レビューの進捗の度合いをメンテナに
468知らせる働きを持ちます。そのパッチの領域に詳しく、そして、しっかりとした
469レビューを実施したレビューアによって提供される時、Reviewed-by: タグがあなたの
470パッチをカーネルにマージする可能性を高めるでしょう。
471
47215) 標準的なパッチのフォーマット
368 473
369標準的なパッチのサブジェクトは以下のとおりです。 474標準的なパッチのサブジェクトは以下のとおりです。
370 475
@@ -396,18 +501,37 @@ Acked-by: が必ずしもパッチ全体の承認を示しているわけでは
396電子メールのサブジェクト内のサブシステム表記は、パッチが適用される 501電子メールのサブジェクト内のサブシステム表記は、パッチが適用される
397分野またはサブシステムを識別できるようにすべきです。 502分野またはサブシステムを識別できるようにすべきです。
398 503
399電子メールのサブジェクトの「概要い回しはそのパッチの概要を正確 504電子メールのサブジェクトの「summary phrase」はそのパッチの概要を正確
400に表現しなければなりません。「概要い回しをファイル名にしてはい 505に表現しなければなりません。「summary phrase」をファイル名にしてはい
401けません。一連ッチ中でそれぞれのパッチは同じ「概要い回し 506けません。パッチシリーズ中でそれぞれのパッチは同じ「summary phrase」を
402使ってはいけません(「一連ッチ」とは順序付けられた関連のある複数の 507使ってはいけません(「パッチリーズとは順序付けられた関連のある複数の
403パッチ群です)。 508パッチ群です)。
404 509
405あなたの電子メールの「概要の言い回し」がそのパッチにとって世界で唯 510あなたの電子メールの「summary phrase」がそのパッチにとって世界で唯一の識別子に
406一の識別子になるように心がけてください。「概要の言い回し」は git の 511なるように心がけてください。「summary phrase」は git のチェンジログの中へ
407チェンジログの中へずっと伝播していきます。「概要の言い回し」は、開 512ずっと伝播していきます。「summary phrase」は、開発者が後でパッチを参照する
408発者が後でパッチを参照するために議論の中で利用するかもしれません。 513ために議論の中で利用するかもしれません。
409人々はそのパッチに関連した議論を読むために「概要の言い回し」を使って 514人々はそのパッチに関連した議論を読むために「summary phrase」を使って google で
410google で検索したがるでしょう。 515検索したがるでしょう。それはまた2、3ヶ月あとで、人々が「gitk」や
516「git log --oneline」のようなツールを使用して何千ものパッチに目を通す時、
517唯一目にとまる情報となるでしょう。
518
519これらの理由のため、「summary phrase」はなぜパッチが必要であるか、パッチが何を
520変更するかの2つの情報をせいぜい70〜75文字で表現していなければなりません。
521「summary phrase」は簡潔であり説明的である表現を目指しつつ、うまく
522まとめられている概要となるべきです。
523
524「summary phrase」は「Subject: [PATCH tag] <summary phrase>」のように、
525大括弧で閉じられたタグを接頭辞として付加してもかまいません。このタグは
526「summary phrase」の一部とは考えませんが、パッチをどのように取り扱うべきかを
527表現します。
528一般的には「v1, v2, v3」のようなバージョン情報を表すタグ(過去のパッチに対する
529コメントを反映するために複数のバージョンのパッチが投稿されているのであれば)、
530「RFC」のようなコメントを要求するタグが挙げられます。パッチシリーズとして4つの
531パッチがあれば、個々のパッチに「1/4, 2/4, 3/4, 4/4」のように番号を付けても
532かまいません。これは開発者がパッチを適用する順番を確実に把握するためです。
533そして、開発者がパッチシリーズの中のすべてのパッチをもらさずレビュー或いは
534適用するのを保証するためです。
411 535
412サブジェクトの例を二つ 536サブジェクトの例を二つ
413 537
@@ -426,7 +550,12 @@ google で検索したがるでしょう。
426 550
427説明本体は無期限のソースのチェンジログにコミットされます。なので、説明 551説明本体は無期限のソースのチェンジログにコミットされます。なので、説明
428本体はそのパッチに至った議論の詳細を忘れているある程度の技量を持っている人 552本体はそのパッチに至った議論の詳細を忘れているある程度の技量を持っている人
429がその詳細を思い出すことができるものでなければなりません。 553がその詳細を思い出すことができるものでなければなりません。パッチが対処する
554障害の症状(カーネルログメッセージや oops メッセージ等)を記載することは問題に
555対処可能なパッチを求めてコミットログを検索する人々にとって特に有用です。
556パッチがコンパイル問題を解決するのであれば、そのパッチを探している人が見つける
557ことができる情報だけで十分であり、コンパイル時の全てのエラーを含める必要は
558ありません。「summary phrase」と同様に、簡潔であり説明的であることが重要です。
430 559
431「 --- 」マーカー行はパッチ処理ツールに対して、チェンジログメッセージの終端 560「 --- 」マーカー行はパッチ処理ツールに対して、チェンジログメッセージの終端
432部分を認識させるという重要な役目を果たします。 561部分を認識させるという重要な役目を果たします。
@@ -436,14 +565,46 @@ google で検索したがるでしょう。
436追加され何行消されたかを示すものです。diffstat コマンドは特に大きなパッチに 565追加され何行消されたかを示すものです。diffstat コマンドは特に大きなパッチに
437おいて役立ちます。その時点でだけ又はメンテナにとってのみ関係のあるコメント 566おいて役立ちます。その時点でだけ又はメンテナにとってのみ関係のあるコメント
438は無期限に保存されるチェンジログにとって適切ではありません。そのため、この 567は無期限に保存されるチェンジログにとって適切ではありません。そのため、この
439ようなコメントもマーカー行の後に書かれるべきです。ファイル名はカーネルソー 568ようなコメントもマーカー行の後に書かれるべきです。
440スツリーのトップディレクトリからの表記でリストされるため、横方向のスペース 569このようなコメントの良い例として、v1 と v2 のバージョン間で何が変更されたかを
441をとり過ぎないように、diffstat コマンドにオプション「 -p 1 -w 70 」を指定し 570表す「パッチの変更履歴」が挙げられます。
442てください(インデントを含めてちょうど80列に合うでしょう)。 571
572「 --- 」マーカー行の後に diffstat コマンドの結果を含めるのであれば、ファイル
573名はカーネルソースツリーのトップディレクトリからの表記で列記されるため、横方向
574のスペースをとり過ぎないように、diffstat コマンドにオプション「 -p 1 -w 70 」
575を指定してください(インデントを含めてちょうど80列に合うでしょう)。
443 576
444適切なパッチのフォーマットの詳細についてはセクション3の参考文献を参照して 577適切なパッチのフォーマットの詳細についてはセクション3の参考文献を参照して
445ください。 578ください。
446 579
58016) 「git pull」要求の送り方(Linus の電子メールから)
581
582間違ったブランチから引っ張るのを防ぐために、git リポジトリのアドレスと
583ブランチ名を同じ行に1行で記載してください。そうすることで、3回の連続クリック
584で全て選択できます。
585
586正しい形式は下記の通りです。
587
588 "Please pull from
589
590 git://jdelvare.pck.nerim.net/jdelvare-2.6 i2c-for-linus
591
592 to get these changes:"
593
594その結果、アドレスを自分自身でタイピングして間違えることはなくなります(実際に、
595何度か間違ったブランチから引っ張ってきてしまい、その時に diffstat の結果を
596検証して間違っていることに気づいたことがあります。どこから何を引っ張るべきかを
597「探したり」、正しいブランチ名かどうかを重ねてチェックしたりする必要が
598なくなればより快適になるでしょう)。
599
600diffstat の結果を生成するために「 git diff -M --stat --summary 」を使って
601ください。-M オプションはファイル名の変更を検知でき、--summary オプションは
602新規ファイル、削除されたファイル、名前が変更されたファイルの概要を生成します。
603
604-M オプション(ファイル名の変更検知)を指定すると、diffstat の結果はかなり
605異なってきます。git は大規模な変更(追加と削除のペア)をファイル名の変更と
606判断するためです。
607
447------------------------------------ 608------------------------------------
448セクション2 - ヒントとTIPSと小技 609セクション2 - ヒントとTIPSと小技
449------------------------------------ 610------------------------------------
@@ -459,7 +620,7 @@ google で検索したがるでしょう。
459も逸脱していると、レビューやコメントなしに受け取ってもらえないかもし 620も逸脱していると、レビューやコメントなしに受け取ってもらえないかもし
460れません。 621れません。
461 622
462唯一の特筆すべき例外は、コードをあるファイルから別のファイルに移動 623特筆すべき例外は、コードをあるファイルから別のファイルに移動
463するときです。この場合、コードを移動するパッチでは、移動されるコード 624するときです。この場合、コードを移動するパッチでは、移動されるコード
464に関して移動以外の変更を一切加えるべきではありません。これにより、 625に関して移動以外の変更を一切加えるべきではありません。これにより、
465コードの移動とあなたが行ったコードの修正を明確に区別できるようにな 626コードの移動とあなたが行ったコードの修正を明確に区別できるようにな
@@ -553,4 +714,11 @@ Kernel Documentation/CodingStyle:
553 714
554Linus Torvalds's mail on the canonical patch format: 715Linus Torvalds's mail on the canonical patch format:
555 <http://lkml.org/lkml/2005/4/7/183> 716 <http://lkml.org/lkml/2005/4/7/183>
717
718Andi Kleen, "On submitting kernel patches"
719 Some strategies to get difficult or controversial changes in.
720 http://halobates.de/on-submitting-patches.pdf
721
556-- 722--
723
724